2013年4月28日日曜日

野谷荘司山(1797m)白谷左俣、岐阜県


山頂から白山

 好天の週末。ココ数日この時期にしては気温の低い日が続いている。今日は、野谷荘司の山頂を踏んで、あわよくば白谷を滑る予定で出かけてきた。
 野谷荘司は、これまで山スキーで4,5回、尾根沿いに登っているが、まだ山頂を踏んでいない。白谷上部の滑走もまだ(雪崩が怖くて冬は滑れません)。白谷は、野谷荘司と三方岩岳を結ぶ尾根を起点として白川郷の馬狩へ落ちている。距離は短いが、上部は明るく広大、白銀のスロープが魅力的な大谷である。

7:30白山スーパー林道白川郷料金所〜白谷左俣〜10:50稜線〜11:40山頂12:00〜12:10白谷左俣最上部〜料金所12:50

 まだ開通していないスーパー林道白川郷料金所前の広場に駐車して、スキーを担いで出発。尾根は雪が切れているので、白谷の右岸を行く。右岸に付けられた小さな林道に入るとすぐにスキーが使えた。心配していたノド部分の通過は、デブリが前日降った新雪でならされており難なくクリア。難しい時は、ノド手前左手の支谷を登り上げることも出来そうだ。
 ノドを過ぎると真っ白な大斜面が広がっている。標高1200m付近から積雪が増えて踝ラッセルになる。登り易い雪で、グングン高度を上げると、呆気なく1602ピーク少し上の稜線着。野谷荘司山頂でランチの後、シールを付けたまま、白谷のドロップポイントまで移動。滑走準備して、下から登って来る人がいないことを確認、エイヤっと谷に飛び込む。最初のターンで、いきなり盛大な湿雪表層雪崩を誘発。雪の落下速度が遅いので危険性は低いが、気持ちの良いものではない。安全地帯でスラフと動悸が収まるの待ってから、奇麗な斜面を選んでカッ飛ばす。デブリで埋まったノド部分は、落石を踏みながら慎重に通過。下部はザラメで滑り易い、アッと云う間に料金所着。
 アプローチ良く、短時間の登りで森林限界を越え、広大な斜面を滑降できる好ルート。ただし雪崩には要注意(奇麗な薔薇には棘がある)。



二股。右俣方面下部は雪が切れていた。






















ノド
ノドを過ぎると素敵な斜面

グングン登る
稜線に出た


ワカントレースのついた稜線を辿る

白谷最上部
猿ケ馬場山の背後に御嶽山




野谷荘司ピーク


山頂から大笠山方面



白谷へダイブ
自分が誘発した雪崩の脇を滑降
白谷下部の新緑
本日のルート(赤線登り、青線下り)





2013年4月10日水曜日

間違えることを前提として


 新年度に入った。趣味につけ仕事につけ、何か新しいこと始めるきっかけにしたい。
 一度新しいことを考えついても、その後、間違えたり失敗することを予想してしまうと、モチベーションが下がって始められない。そんなことが続いている。若い頃は、或る意味愚かだったので、失敗の危険性が予測出来ず、思いつくままどんどんやってしまった。もちろんほとんどは失敗に終ったのだが、その中の幾つかはうまく行き、これまでなんとか生きてこれた。今思えば十試みて一つうまくいけば御の字であったと思う。
 普通、年をとれば慎重になり賢くなって、確率は上がりそうなものだが、自分の場合、そういった能力が欠落しているのか、依然として確率は上がらない。つまり、今迄以上の成果を上げるためには、シンドイことであるが、これ迄以上に新しい試みを行わなければいけないということなのだろう。
 昔に比べると、インターネットが利用出来る現在では、容易に欲しい情報に接することが出来る。失敗しそうなことも成功しそうなことも判断材料には事欠かない。しかし、判断する人間の資質は以前とそれほど変わっていないので、正しい判断が出来るようになったとは云い難い。自分の様な悲観主義者にとっては、成功するよりも失敗しそうなことのほうが容易に予想できるので、新しい事業には二の足を踏んでしまう。失敗しそうなこと、無駄なことはしたくないのだ。しかし、よくよく考えてみれば、トライして失敗してみないことにはその先に進めないことも多い。失敗の可能性を認識しつつ、新しい一歩を踏み出せるかどうかは、失敗しても構わないくらいの強い動機があるか、あるいは、失敗後の事態をある程度予想して、それでも実行する価値を見い出す長期的な判断力にかかっていると思う。
 社会や国家が、何か新しい事業を始めるときはどうだろう。例えば、70年前の太平洋戦争。国民にとって最も過酷で重大な結果を招く大戦争を始めたとき、当時の軍人や政治家はどの程度敗戦とそれが招く結果を予測していたのだろうか?この辺のことは歴史家や近代史の専門家が詳しく調べているはずだが、実際の敗戦とその結果がもたらすものについて、冷静に予測した上で始めた戦争ではなかったように感じる。本当の動機は何だろう?。
 スケールは違うが、日本中の里山にあった自然林を壊滅させたスギの大規模植林(※注)。農林水産省が、1960年当時懸念された木材の需要急増と供給不足の対策として行ったもの。しかし実際には、木材以外の建築材料の普及や安い輸入木材のため、ほとんど利用されることは無かった。結局、この事業によってもたらされたものは、景観の破壊と花粉症だけだ(トホホ)。
 現在汚染水の処理が問題になっている原子力発電の場合。事業を始めた60年前でも、重大な危険性を認識していた人は多かったはずである(ノーベル物理学賞の湯川秀樹は、抗議のため国の原子力委員を辞任した)。それでもなお事業が進められたのは、当時の政府と国民の間で、ある程度の危険性を勘案しても国にとってメリットがあるという判断が共有されたからであろう。しかし実際には、想定の範囲を越えた事故が起こってしまい、今後も起こりうることが明らかとなった。廃棄物処理の問題も解決できそうにないので、今後日本の原子力発電は、急に止めることは出来ないにしろ、衰退していくことになるのは間違いない。
 ネガティブな事例ばかり上げたが、やらなければいけなかったこと、やってよかった事業の方が多かったのはもちろんのことである。
 個人的なことに戻ると、冬山へ一人で山スキーに出かける場合、一歩間違えれば、致命的であるか、そうでなくても人騒がせで面倒な事態を招く危険性は高い。こうゆうことにハマっている人は、自分を含め、北陸周辺には多い。では何故続けているかというと、、、
  A) 雪山を自由に滑るのが好き。
  B) 精神的肉体的に健康に良いため、失敗が或る程度予測出来ても、長期的に考えれば危険性を越えてメリットが大きい。
 多くの山スキーヤーの場合、Aが本音、Bが言い訳、ということなる。Aの動機だけでこういうことを続けるのは、いささか非常識で、いい歳をした社会人としてどうか、という感じもしないではないが、わかっちゃいるけどやめられない、 のである。


林学者の太田猛彦氏によると、江戸時代の里山の多くは、乱獲が原因で既にハゲ山だったそうである。だとすると、件の杉の大規模植林は、自然林を伐採して行ったのではなく、荒廃したハゲ山に植林を行ったという可能性もありますが・・・、どうでしょうか (2013年11月14日)




2013年4月6日土曜日

ナゾの温泉、その後

前は無かった石造の看板


以前やっていたブログ(iWeb版「雷鳥だより」)2010年12月20日の日記に、長野県で見つけた不思議な温泉のことを書いた。iWebはサービスを終了しており、記事を閲覧することが出来ないので、テキストの部分だけ以下に再録する。

****************************************
昨日、 国道148号線 を南下中、新潟と長野の県境付近、湯原トンネルと塩原トンネルに挟まれた道路脇に、「源泉掛け流し、湯原温泉」という看板を見つけた。148号線は、白馬方面への通り道で、湯原トンネルを通過する度、いつも温泉特有の微イオウ臭が感じられた。近くに温泉が湧いているらしいのだが、場所が分からない。今年の春に通ったときには、温泉の看板は無かったような気がする。
 スキーの帰路、看板の矢印の方向に従って国道を外れて、姫川の河川敷の方へ降りて行ってみた。未舗装の車道を辿ると、小高い場所に、平屋建ての建物が建っており、湯原温泉の看板がかかっている。
 玄関前に、準備中の札が置かれている。中を伺うと、洗濯物のようなものが干してあり、人の気配がする。しかし、扉をノックをして、声をかけても誰も出てこない。周辺に自動車も停まっておらず、たまたま留守中であったのか?看板には、源泉掛け流し露天風呂、お一人様400円、 営業時間AM10時-PM20時まで、とある。 
周辺を散策してみると、駐車場の奥の方に「塩、猫鼻(湯原0.7k 、蒲原1.6k)千国街道」の立て札があり、古い石仏が沢山並んでいる。由緒のある場所らしい。
 建物は、比較的新しい感じなので、最近出来た日帰り温泉施設なのか?温泉はどこから引いているのか?湯原トンネルのイオウ臭との関係は? 結局、湯原温泉にはこの日入れなかった。
**************************************

先日行った家族旅行の帰路、148号線を車で北上中、看板を見かけたので立ち寄ってみた。



建物の外観













 河原沿いの道は、相変わらず未舗装で、水たまりを避けながら駐車場へ。建物の前には数台の自動車が停まっており、玄関の前で数名の男性が輪になって話し込んでいる。手ぬぐいを持って近づいていくと、男性の一人が、気さくな感じで「いらっしゃい」と云って、お風呂に案内してくれた。この方がご主人のようである。建物の内部は雑然としているが山小屋のような感じで、寛げる雰囲気。料金は500円、この2年の間に100円値上げになったようだ。



玄関。見難いが、上に「猫鼻の湯」の看板。



休憩所













 お風呂場は、川側の壁と屋根が取り払われた半露天で見晴らしが良い。大きな浴槽左手の柱に源泉温度55度と書かれている。蛇口が二つ有って、片方が源泉、もう片方が温度調節用の井戸水。右奥の木樽には、シャワー状の湯口から、ぬる湯が注がれている。どちらのお湯も細濁り、近くの若栗温泉や姫川温泉ホテル国富のものに似て入り心地が良い。源泉が勢い良く掛け流されており、お湯の鮮度抜群である。山側には、以前無かった露天風呂の施設も建てられていて、母屋の方と同じお湯が使われているようだ。


お風呂場











露天風呂



















ご主人のお話によると、、、、

 以前、少し下流に猫鼻の湯という温泉があって、1995年の姫川の災害(7.11水害)で流されてしまった。その後、今の建物の玄関付近を掘ってみたら湯が湧いたので、「湯原温泉猫鼻の湯」として新しい施設を作り、営業を始めた。最近、最初の源泉の場所から少し山側に離れた場所を掘ってみたら、今度はホウ酸を含む別の泉質の湯が湧いた。これが今では母屋の方のぬる湯になっている。この泉質は目に良いので、今日浸かれば明日から眼鏡を使わずに済む。

 私が2年前に最初に訪れたときは、営業を始めたばかりの頃で、その時たまたま留守であっただけらしい。ちなみに、今のご主人が、前の猫鼻の湯の関係者であったのかどうかは聞きそびれた。いずれにしろ、また素敵な温泉を一つ見つけた。